新型コロナウイルス感染症の流行に伴うリモートワークや外出自粛による在宅時間の増加により、新規で犬や猫を飼育する人が増えています。
少子化の加速する日本では15歳未満のこどもの数と比較し、ペットの数の方が多くなるほど家庭や社会での「ペット」の存在感は増しています。
コロナ禍のリモートワークやオンライン授業等で在宅時間が増加し、人との関わり合いが減少する中で”ストレスの減少”や”癒し”を求めてペットの飼育を検討する人が増えています。
本記事では、犬や猫の購入を検討している方に、購入前に知っておくべき犬や猫の習性とペットとの共生、保護犬・保護猫事情を踏まえたペット飼育への責任、保護犬減少への取り組みをご紹介します。
Contents
コロナ禍で犬の飼育頭数は増加
新型コロナウイルスが流行をし始めた2020年は、2019年と比較すると犬猫の新規飼育が115%増(※)と伸長しました。2021年の新規飼育は2020年よりわずかに減少したものの、コロナ以前より増えています。犬の飼育頭数はわずかに減少したものの新型コロナウイルス流行前より、高い頭数になっています。

ペットの犬が減り猫の飼育が増加?犬や猫を飼う費用とは?
犬、猫の平均寿命は犬が14歳、猫が15歳(※1)とほとんど差がありませんが、犬と猫の飼育費用では差があることがわかりました。
ペットにかける年間費用は、犬が33万8561円、猫は16万4835円で犬は猫の2倍以上の費用がかかります。年間費用の内訳としては、ペットフード代、トリミング費用、病気の治療費などです。
仮に14年生きるとして1頭あたりの費用は、犬は470万円、猫は230万(※2)です。
※1 猫全体の平均寿命は15.45歳。犬全体は14.48歳(「令和2年(2020年)全国犬猫飼育実態調査 結果」一般社団法人ペットフード協会
※2 出所:「ペットにかける年間支出調査 2020」アニコム損害保険株式会社調べ
犬の本能と習性や行動例
犬はかつて野生で群れを形成し、群れの中でそれぞれの犬が狩猟や防衛などの役割を果たしていました。現代の犬にもこの本能が残っており、リーダーと認めた飼い主のいう事を聞くことや食料を与えてくれる家族に服属します。また本来、群れ属性があるため長時間ひとりで過ごすことは苦手です。
犬のしつけに悩んだら・・犬の本能と習性、行動例とは?
犬には大きく分けて「繁殖本能」「社会的本能」「逃走本能」「運動本能」「栄養本能」「自衛本能」の6つの本能があります。この大別された本能も細かく分けられ、17に分類できます。この17分類が主な犬の習性です。これらを行動に落とし込むと、犬の主な行動例の理由が理解できます。
飼い主は犬のしつけをする上で、犬の本能やその習性を理解した上でしつけを行うことが重要です。
本能大別 | 本能分類 | 習 性 | 犬の行動例 |
---|---|---|---|
繁殖本能 | 生殖本能 | 種の保存をしようとする | 発情期、交尾 |
養育本能 | 子供を守り育てる | 子供に触らせない | |
社会的本能 | 群棲本能 | 群れを作る | 飼い主をリーダーと認めないと言う事を聞かない |
権勢本能 | リーダーになろうとする | 飼い主に飛びつく、他の犬に吠える | |
服従本能 | リーダーに従おうとする | 飼い主に従う | |
警戒本能 | なわばりを作り、守る | 番犬として知らない配達員に吠える | |
防衛本能 | 群れなどを守る | 飼い主や赤ちゃんを守ろうとする | |
監守本能 | 獲物などを取られないよう守る | 気に入ったスリッパやおもちゃを離さない | |
闘争本能 | 必要とあらば戦う | 闘犬 | |
帰巣本能 | 猟に出ても巣に戻れる | 迷子や脱走ののち、自力で帰宅 | |
逃走本能 | – | 身の安全を図ろうとする | 保護された犬が保護主の家から脱走 |
運動本能 | 遊戯本能 | 遊びの中で優劣関係を学び順位をあげようとする | 飼い主とおもちゃの引っ張り合い |
栄養本能 | 持来本能 | 獲物を巣や猟師に運ぶ | 投げたボールを持ってくる |
捜索本能 | 嗅覚を利用して獲物を探し出す | 警察犬の犯人追跡 | |
追跡本能 | 逃げる獲物を追う | ドッグレース | |
狩猟本能 | 獲物を狩る | 近くを走っている人に反応 | |
自衛本能 | – | 自分の身を守る | 触ろうとすると噛む |
猫の本能と習性や行動
猫はかつて夜間に単独で狩りをする動物でした。強い狩猟本能と高い知能を持ち、ひとりでも狩りができる身体のつくりのため、仲間と協力して暮らしていく必要性がないので縄張り意識が強いです。現代の猫も独立心が強く残っています。
猫のしつけや本能と習性とは?
猫にも動物の共通の本能である生殖本能、母性本能、採食本能、防衛本能があります。猫の主な本能、習性、行動は以下の通りです。
本能 | 習性 | 行動 |
---|---|---|
リーダーを必要としない | 単独で生活 | 群棲するより、孤独を好む傾向。 飼い主への忠誠心がない。 拘束されることを嫌う。 |
狩猟本能 | 狩りが大好き | 虫やおもちゃに飛びつく。 走るもの、動くものを追う、つかまえる、遊ぶ。 |
生殖本能、養育本能に必要 | 縄張り意識が強い | 匂いをつけたり、爪とぎをするマーキング。警戒心が強く、自己のナワバリを主張し、守る。 |
狩猟本能で昆虫等が活発に動く時間を本能で理解 | 薄明薄暮性 | 活発なのは明け方と夕方。平均して16~17時間睡眠 |
子犬と子猫のしつけ全般やトイレのしつけはどっちが楽?
しつけ全般に関しては、同じ種類でも異なる性格を持っているので一概には言いづらいですが、一般的には猫より犬の方が簡単だと言われています。群れ社会の心理行動を持つ犬は、本能的にリーダーに従いやすく、従順な性格をしている場合が多く、犬は人を喜ばせることが好きなので、飼い主の要望に応えることにも幸せを感じます。
ペット飼育の上で最初のしつけの課題にあがりがちな「トイレのしつけ」においては、犬より猫の方が簡単だと言われています。猫は本能的にトイレを使おうとするので、トイレがどこにあるか1度教えるだけでよいケースもあり、犬のように繰り返しトレーニングが不要な場合が多いです。
テレワーク(在宅勤務)で犬や猫に邪魔されずに仕事するポイント
テレワークでペットに邪魔されることなく仕事する際のポイントを以下にまとめました。
☑ペットが落ち着く場所を作る
☑思い切って仕事部屋とペットの部屋を分ける
☑仕事前、休憩中、終業後にしっかりペットと遊ぶ
☑仕事中はペットに構えないことを理解させる

近年注目される保護犬や保護猫事情
保護犬や保護猫とは、民間の保護団体や動物愛護センター、また保健所などの行政施設に保護されている犬のことです。マスメディアの報道で保護犬、保護猫の殺処分が話題になり、殺処分を回避する動きや支援、活動がひろがっています。その一貫で保護犬や保護猫を家族に迎え、飼育する世帯も多く見られます。
保健所の犬の保護数と猫の保護数と子犬と子猫の割合や譲渡数犬 保護
環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室が「愛護管理行政事務提要」より作成した「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」によると、犬の引き取り数のうち72%が成熟した犬で、猫は幼齢が62%と犬と猫で差異がありました。

※幼齢の個体とは主に離乳していない個体
ホームセンター大手島忠も犬・猫の保護動物譲渡会を開催
大手ホームセンターの島忠は2020年7月から一部店舗でのペットの陳列販売を廃止し、島忠の許可を得たブリーダーを通じての紹介に切り替えを開始しています(※1)。
近年、劣悪な環境の中で犬を繁殖し、生まれた子犬を販売する「悪徳ブリーダー」が問題視されています。島忠の取り組みは、悪質なブリーダーを選別し、殺処分を減少することへの寄与が見込まれています。
島忠(SHIMAHO PET)が発表したメッセージも多くの愛犬家、愛猫家から支持されています。
「ペットショップを通じて動物との出会いの場を提供してきました。 しかし、私たちが暮らす地域には、さまざまな理由で家族と一緒に暮らすことができない『保護動物』たちが存在します。彼らは毎日保健所や動物保護団体のシェルターで新しい家族が迎えに来てくれることを待ち望んでいます。そんな彼らの新しい家族探しの場所として、これからはこの場所を新しい出会いの場として提供します。 ※抜粋 SHIMAHO PET チャリティー案内板より」 |
譲渡会の取り組みは、地域自治体、保護団体、島忠が三位一体となり、実施しています。地域自治体は「野良猫」が減り、活動団体はレスキューする猫が減少し、島忠はペットフードやグッズの購入が見込まれる三者Win-Winの取り組みです(※2)。
※1 譲渡会に関しては、全店舗中のペットショップのない店舗に限り実施。
※2 島忠はペットフードの購入額の一部を寄付しています。
まとめ
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う在宅時間の増加で犬や猫の飼育を検討する世帯が増加しています。
癒しや在宅時間の充実を求めて飼育を検討する一方で犬や猫の平均寿命の14~15歳まで責任を持って家族として迎えることができるか否かの検討や、犬や猫と共生する上で、犬や猫の本能や習性を理解し、しつけや双方が快適に空間を共有できるよう飼い主が理解に努めることや空間の工夫など、コロナ禍でのペットとの共生のポイントが見えました。
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